改訂新版 世界大百科事典 「ポドリエ」の意味・わかりやすい解説
ポドリエ
Podol'e
ウクライナ西部の歴史的名称。ポドリエの原義は〈谷沿いの地〉で,南ブーグ川流域およびドニエストル川左岸にひろがる。中心都市はカメネツ・ポドリスキーKamenets-Podol'skiiで,住民はおもにウクライナ人。元来,東スラブ人の居住地で,キエフ・ロシア,ガーリチ・ボルイニ公国の一部をなしていたが,西部は1366年までにポーランドのガジミエシュ3世によってポーランドに併合された。東部はリトアニア領となったが,ルブリンの和議(1569)によってポーランド領に編入された。ポーランド分割によって,西ポドリエは1772年よりオーストリア領,東ポドリエは93年よりロシア帝国領となった。第1次大戦後,西ポドリエは一時的にポーランド領となったが,現在は全域がウクライナに帰属している。なお,ポドリエはルテニア地方の最東部をなす。
執筆者:森安 達也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報