帰属(読み)キゾク

  • attribution

デジタル大辞泉の解説

[名](スル)
特定の組織体などに所属し従うこと。「国家への帰属意識」
物・権利などが、特定の人・団体・国などの所有となること。「領土の帰属問題」「国庫に帰属する」

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大辞林 第三版の解説

スル
属して、つき従うこと。 会社への-意識
財産・権利・領土などが特定の人や団体・国のものになること。 収益は主催者に-する

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 物や人が、どこに、あるいはだれに属するか、ということ。
※民法(明治二九年)(1896)四二条「寄附財産は〈略〉法人に帰属したるものと看做す」

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最新 心理学事典の解説

人の行動など変化に富む社会現象を,それを生み出していると考えられるなんらかの原因に結びつける心理過程を帰属という(Heider,F.,1958)。社会現象の原因を物理的あるいは論理的に特定することは困難で,実際に人がどのように帰属判断を達成し,対象(社会現象や現象を引き起こす人)を解釈しているのかという研究が行なわれてきた。また,同一対象についての帰属もさまざまな要因によって変化することがあり,帰属内容に応じて対象の評価は異なり,対象への態度や行動が変化する。帰属は相互作用場面における重要な社会的認知過程の一つであり,さまざまな領域で研究が行なわれてきた。古典的帰属理論の研究は,帰属がある特定の行動を行為者の内的要因あるいは外的要因に帰するのかという問題を中心に展開された。内的要因としては本人の性格や能力,あるいは態度といった特性dispositionが考えられ,特性帰属を研究することによって,他者を認知する過程を示すことが可能であると考えられた。この領域の研究は,外的要因(社会的状況)の強い制約のもとで行動が起きた場合でも,行動に対応した内的特性が原因として過剰に推論されることを繰り返し示した。この現象は,根本的な帰属の誤りfundamental attribution error,または対応バイアスcorrespondent biasとよばれる。外的要因(社会的状況)が内的要因(個人の性格)に増して強い影響力をもつことを社会心理学研究は数多く示してきたが,一般に人は内的要因の影響力を誤って過大視しやすい。

 帰属は他者や自分の行為の責任を判断するときにも重要な役割を果たす。この責任帰属はネガティブな出来事が生じたときに,だれがその責めを負うのか判断することである。出来事の原因帰属に加えて,道徳や法の知識を背景とした公正さの基準に従って,たとえば犬が被害を生み出したとしても,われわれは飼主の責任を判断し,その人を非難することがある。

 帰属は自分の行動やその帰結に関しても行なわれる。自己知覚理論self-perception theoryは,人が自分の行動とそれが行なわれた社会状況の観察から,自分の内的特性を推論する過程を示した。情動の二要因理論two-factor theory of emotionも同様に,生理的覚醒と情動的反応の帰属を核心とする認知的ラベリングが情動経験にとって必要な場合を示した。この実験では,自己の反応を誤帰属する場合があることも明らかにした。さらに,自分の行動の帰結は成功あるいは失敗と評価されることがあるが,その帰属は内的-外的次元だけではなく,安定-不安定もしくはコントロール可能性の次元でも行なわれる(Weiner,B.,1979)。この帰属内容に応じて,後の達成動機づけが影響を受けることがある。たとえば,失敗を能力不足よりも,努力不足(内的・不安定要因)に帰属した方が,次の課題への動機づけは高まるだろう。

 帰属を決める最も基本的な要因は,原因と結果の共変である。この共変原理を基礎として多数回の観察に基づくモデルが当初考えられたが,帰属は1回の観察でもたいてい成立する。人の行動を記述した文を読んだだけで,自発的特性推論が生じることも知られている。近年では,行動観察に基づいて対応する特性を自動的に推論する過程と,次に行動の起きた状況を考慮してその特性推論を修正する過程を含む二段階モデルが提案されている。修正過程では,同じ結果を生み出す別の要因があるときには,ある(特性)要因の役割は割り引かれるという割引原理discounting principleなどが用いられるが,意識的な熟慮が求められ,認知資源や容量を必要とする。しかし,しばしば資源が足りず,自動的推論の内容がそのまま結論となることが多く,根本的な帰属の誤りが生じる理由だと考えられる。

 ほかにも帰属には,行為者-観察者の差異など,さまざまなバイアスが伴うことが示されている。一般に,行為者は自分の行動を外的状況要因に帰属しやすいが,観察者は(根本的な帰属の誤りが述べるように)行為者の内的特性に帰属しやすい。もちろん,両者は行為者についての情報量,行動を見る視点,行動理解の動機などが異なり,差異を生み出す原因が複数考えられる。ただし,実証研究の結果,ネガティブな行動の帰属の場合のみに差異は明確であった。また,行為者が成功を内的に,失敗を外的に帰属しやすいこともよく知られている。このように,自己がかかわる社会現象の帰属研究は自己奉仕的バイアスの存在を最初に示し,多くの社会的推論や判断の研究に動機的過程に着目する必要を示してきた。
〔村田 光二〕

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