日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポラリス潜水艦」の意味・わかりやすい解説
ポラリス潜水艦
ぽらりすせんすいかん
Polaris submarine
アメリカの第1世代潜水艦発射弾道ミサイル、ポラリスを装備した原子力潜水艦。動力源として原子炉を積んだ原子力潜水艦は、さらに核ミサイルの水中発射が可能になり、核戦略のなかで重要な位置を占めるようになった。潜水艦からのミサイル発射の試みは当初、巡航ミサイルを用いて行われた。第二次世界大戦直後にアメリカはドイツのV1号の改造から、やがてレギュラス・ミサイルを開発し1955年に実戦配備した。しかし、このミサイルの発射は浮上した状態で行わなければならず、潜航したまま海中から発射できるミサイルの出現が待たれ、ポラリス・ミサイルが開発された。最初にこれを積んだのはジョージ・ワシントン号(6010トン、1958年12月就役)で、1960年7月ケープ・カナベラル沖で初めて水中からポラリス・ミサイルの発射に成功した。同年11月には正式配備され実戦パトロールの任務についた。ポラリス・ミサイルにはA‐1、A‐2、A‐3と3バージョンがあり1960年代の主力ミサイルであったが、70年には新しいポセイドン・ミサイルが配備され、ポラリス潜水艦はポセイドン・ミサイル搭載艦に改修された。さらにポセイドンの後を継ぐのがトライデント潜水艦である。
[服部 学]