改訂新版 世界大百科事典 「マイゼンブーク」の意味・わかりやすい解説
マイゼンブーク
Malwida Freiin von Meysenbug
生没年:1816-1903
ドイツの婦人運動家,文筆家。ヘッセン・カッセルの枢密顧問官を父としてカッセルに生まれ,1834年デトモルトに移住。その地の牧師の子息で,当時ボン大学のキンケルのもとで学んでいたアルトハウスTheodor Althaus(1822-52)との出会いを契機として民主主義思想に傾倒する。48年革命期には直接の行動はしなかったものの,その行方を熱いまなざしで見つめる。革命の敗北後は50年ハンブルクへ赴き,同地で自由信仰教会派Freie GemeindeがF.W.A.フレーベルの教育理念に基づいて創設した〈女子大学〉の教師となる。52年逮捕をのがれてイギリスへ亡命し,家庭教師として生計を立てるかたわら,ゲルツェンをはじめとする多数の亡命革命家たちと交際する。62年イギリスを去り,パリへ赴き,さらに晩年はイタリアに居住し,それらの地でR.ワーグナー,ニーチェ,ロマン・ロランらと親交,とりわけロランの若き日に多大な影響を与えた。自叙伝《一理想主義者の回想》(1876)ならびにロランとの往復書簡がとくに有名である。
執筆者:松岡 晋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報