改訂新版 世界大百科事典 「マンティリャ」の意味・わかりやすい解説
マンティリャ
mantilla
スペインで用いられる女性が頭を覆うための布。〈小さなマント〉の意。素材は絹や羊毛などで,周囲に網目織やレース編の装飾をほどこし,全体が網目織やレースのものもある。初めはおもに売春婦が身につけたものらしく,18世紀まではマドリードの下層の女(マハmaja)が使っていたが,19世紀には一般的になり,1830年前後には特に貴族の夫人たちの間で用いられるようになった。しかし1868年革命以降,帽子が流行したため,マンティリャは宗教関係の祭りなどに限って使われるようになり,色も白か黒となった。ローマ教皇に謁見する際は必ず着用し,また闘牛のとき,貴賓席の女性もこれをかぶらねばならなかった。マンティリャとともにペイネータpeineta(飾りぐし)も用いられるようになった。
執筆者:フアン・ソペーニャ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報