改訂新版 世界大百科事典 「ミシュテコ」の意味・わかりやすい解説
ミシュテコ
Mixteco
メキシコのインディオ集団。主としてオアハカ州に住み,ゲレロ州,プエブラ州にも分布している。5歳以上でミシュテコ語を話す人口は30万6000(1977)。高文明を発達させ,親族集団を中核とする世襲の階層的な地域集団が権力を握り,司祭が暦や儀礼をつかさどっていた。コディセ(古写本),祭事用陶器,金細工に高い技術をもち,ナワ語系インディオの文化にも大きな影響を与えたと考えられている。アステカの支配の後,スペインの征服をうけ,土着の政治・宗教上の統合はくずれた。現在でもミシュテコは衣装,陶器,籠などの製作に高い技術と芸術性を示す。オアハカ州の海岸寄りのハミルテペク地方ではメスティソや黒人との接触から社会的緊張が高く,一方,山地ではプエブラ州のテワカンのメスティソ商人の活動が大きく,ミシュテコの生活を圧迫している。若者の出稼率は高く,プエブラ州,ベラクルス州,メキシコ市に行く。
→オアハカ文化
執筆者:黒田 悦子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報