ミロン試薬(読み)ミロンシヤク(その他表記)Millon's reagent

関連語 名詞

精選版 日本国語大辞典 「ミロン試薬」の意味・読み・例文・類語

ミロン‐しやく【ミロン試薬】

  1. 〘 名詞 〙 ( ミロンは Millon フランスの化学者の名から ) 水銀を硝酸に溶かしてつくる試薬。蛋白質フェノール類の検出に用いられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミロン試薬」の意味・わかりやすい解説

ミロン試薬
みろんしやく
Millon's reagent

ある種のタンパク質およびフェノール類の検出に用いられる試薬。フランスのミロンNicolas Auguste Eugène Millon(1812―1867)が1846年に発見。水銀1グラムを発煙硝酸1ミリリットルに溶かし水2ミリリットルで希釈した溶液をいう。試料のアルコール溶液あるいはエーテル溶液一滴をとり、これにミロン試薬の溶液一滴を加えて2~3分間放置し、変化がなければ加熱、煮沸する。フェノール類が存在すれば赤色を呈する。アミノ酸一種であるチロシン(p(パラ)-ヒドロキシフェニルアラニン)を含む多くのタンパク質、たとえばカゼイン絹糸などは、その酸加水分解、酵素消化あるいは腐敗による分解でチロシンを生じ、ミロン試薬と反応して呈色するので、繊維鑑別試験に用いられる。ゼラチンは呈色しない。

[成澤芳男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のミロン試薬の言及

【ミロン反応】より

…しかし現在では,スペクトルによる分析が主流となっており,またこの反応では水銀を使用するので環境汚染の問題もあって,ほとんど利用されることはない。試料溶液にミロン試薬(水銀10gに濃硝酸20mlを加えて加熱溶解し,その上澄液を2倍量の水で希釈したもの)を加えると,フェノール性水酸基が存在すれば白色沈殿を生じる。加熱すると沈殿は赤褐色に変わるか,または溶けて赤褐色の溶液となる。…

※「ミロン試薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android