ある種のタンパク質およびフェノール類の検出に用いられる試薬。フランスのミロンNicolas Auguste Eugène Millon(1812―1867)が1846年に発見。水銀1グラムを発煙硝酸1ミリリットルに溶かし水2ミリリットルで希釈した溶液をいう。試料のアルコール溶液あるいはエーテル溶液一滴をとり、これにミロン試薬の溶液一滴を加えて2~3分間放置し、変化がなければ加熱、煮沸する。フェノール類が存在すれば赤色を呈する。アミノ酸の一種であるチロシン(p(パラ)-ヒドロキシフェニルアラニン)を含む多くのタンパク質、たとえばカゼインや絹糸などは、その酸加水分解、酵素消化あるいは腐敗による分解でチロシンを生じ、ミロン試薬と反応して呈色するので、繊維鑑別試験に用いられる。ゼラチンは呈色しない。
[成澤芳男]
…しかし現在では,スペクトルによる分析が主流となっており,またこの反応では水銀を使用するので環境汚染の問題もあって,ほとんど利用されることはない。試料溶液にミロン試薬(水銀10gに濃硝酸20mlを加えて加熱溶解し,その上澄液を2倍量の水で希釈したもの)を加えると,フェノール性水酸基が存在すれば白色沈殿を生じる。加熱すると沈殿は赤褐色に変わるか,または溶けて赤褐色の溶液となる。…
※「ミロン試薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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