ムネダラ(読み)むねだら(その他表記)pectoral rattail

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムネダラ」の意味・わかりやすい解説

ムネダラ
むねだら / 胸鱈
pectoral rattail
giant rattail
[学] Coryphaenoides pectoralis

硬骨魚綱タラ目ソコダラ科に属する海水魚。相模湾(さがみわん)以北の太平洋岸、北海道のオホーツク海沿岸、オホーツク海、千島(ちしま)列島、カムチャツカ半島南部、ベーリング海アリューシャン列島からアラスカ湾を経てカリフォルニア半島北部の海域に分布する。体は円筒状で、尾部は延長して紐(ひも)状。吻(ふん)は短くて、鈍く突出する。口は頭の下面に開き、大きく、上顎(じょうがく)長は頭長の3分の1以上ある。上顎の歯は2列で、外列歯は肥大する。下顎歯は1列。腹びれは6~8軟条で、鰓弓(さいきゅう)の上枝には鰓耙(さいは)がない。背びれ第2棘(きょく)の前縁は鋸歯(きょし)状。第2背びれ起部は臀(しり)びれの起部よりも前方に位置する。臀びれは第2背びれよりも高い。尾びれはない。全長約2メートル以上になる大形種。水深150~3500メートルの砂泥底の海底近くにすみ、頭足類、魚類、エビ類などを捕食する。産卵の最盛期は秋から冬。トロール網で漁獲される。肉は柔らかいが、大形で多く漁獲されるので、練り製品の原料として期待される。同じ海域からとれるヒモダラC. longifilisに似るが、背びれが7~9軟条、腹びれが6~8軟条と少なく、下顎歯が1列であることなどで区別できる。

[尼岡邦夫 2016年10月19日]


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