ムラナウ族(読み)ムラナウぞく(その他表記)Melanau

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムラナウ族」の意味・わかりやすい解説

ムラナウ族
ムラナウぞく
Melanau

ボルネオ島北西部,マレーシアサラワク州に住むマレー系民族。独特なロングハウスに住み,特殊な文化をもっていたが,ブルネイ・マレー人に起源を発する貴族政治やイスラムの影響を強く受けた。今日ではより小さい家屋群が集落を川に沿って形成している。生業漁業を主とする集落もあるが,大部分は,イネサゴヤシ,ゴムなどの栽培を行なう。出自双系的であり,妻方居住婚の傾向がある。身分階層に分かれ,子は父親の階層に帰属する。かつては階層内婚が原則であったが,ロングハウスの放棄,サゴヤシやゴムなどの商品作物栽培の発達などによって,この制度は変容している。伝統的な精霊崇拝葬儀が行なわれる。かつて身分の高い者の葬儀では,クリデンと呼ばれる大きな木製の柱を立て,この頂上に遺体が安置された(→台上葬)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android