メキシコシティー・オリンピック競技大会(読み)メキシコシティー・オリンピックきょうぎたいかい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

メキシコシティー・オリンピック競技大会
メキシコシティー・オリンピックきょうぎたいかい

メキシコメキシコシティーを開催都市として行なわれた第19回オリンピック競技大会。1968年10月12日から 27日まで開催され,112の国と地域から約 5500人が参加した。標高 2240mという高地で開催された初めてのオリンピックとなった。人種差別政策アパルトヘイトを理由とする南アフリカ共和国の招待取り消し,民主化するチェコスロバキアにソビエト連邦軍などが侵攻したプラハの春,200人以上の死者を出したメキシコシティーでの学生と軍隊衝突など,国内外の緊迫した政治情勢のなかで開幕した大会だった。ドイツは初めてドイツ民主共和国(東ドイツ)とドイツ連邦共和国(西ドイツ)に分かれて参加した。この大会からドーピング検査とセックス・チェックが実施されるようになった。陸上競技男子 200mで 1位のトミー・スミスと 3位のジョン・カルロス(ともにアメリカ合衆国)は表彰台で人種差別に抗議する示威行動に出たため,選手資格を停止され選手村から追放された。金メダル争いはアメリカが 45個で 1位,ソ連が 29個で 2位,日本は 11個で 3位となった。高地開催が影響し,陸上競技男子 100mでアメリカのジェームズ・ハインズがオリンピックで初めて 10秒の壁を破る 9秒9,走り幅跳びでアメリカのボブ・ビーモンが 8m90という世界新記録を樹立した。女子体操ではチェコスロバキアのベラ・チャスラフスカが個人総合で 2連覇を果たした。日本選手では,マラソン君原健二が 2位,サッカー釜本邦茂の活躍で 3位,バレーボール男女とも 2位。体操競技では男子団体総合で優勝するなど五つの金メダルを獲得し,レスリングでは四つの金メダルを獲得した。ウェイトリフティングでは三宅義信,三宅義行の兄弟がそろって表彰台に上がった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android