…同期の小津安二郎ほどの厳密さはないが,固定画面を多用し,日本建築の廊下や縁側にたたずむ人物たちから抑制の利いた抒情性を引き出したその空間感覚によって世界的に評価されるに至る。《妻よ薔薇のやうに》(1935)での女性像(千葉早智子)の鮮やかさは,《鶴八鶴次郎》(1938)の山田五十鈴,《めし》(1951)の原節子などにうけつがれ,《稲妻》(1952)に始まる高峰秀子とのコンビを決定的なものにする。林芙美子原作の《浮雲》(1955。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」