改訂新版 世界大百科事典 「ANZUS条約」の意味・わかりやすい解説
ANZUS条約 (アンザスじょうやく)
ANZUS Treaty
1951年9月1日にサンフランシスコで締結された,オーストラリア,ニュージーランド,アメリカ間の太平洋安全保障条約のこと。3国の頭文字をとってアンザスと言う。翌年4月に発効。有効期間は無制限。1国が武力攻撃を受けたときは,自国の憲法上の手続に従って共通の危険に対処することなどを定めている。この条約は,日本とのサンフランシスコ講和条約の締結(1951年9月8日)と対日占領解除に伴い,日本の軍国主義復活からオーストラリア,ニュージーランドを守るというアメリカによる保障の意味を持っていたが,同時に,前後して締結された米比相互防衛条約(1951年8月30日)や日米安全保障条約(1951年9月8日)とともに,アメリカのアジア地域における反共軍事体制の一環としての意味も持っている。さらにオーストラリア,ニュージーランドにとって,イギリスからアメリカへという軍事的パートナーの転換をも意味していた。時を経るにつれて,対日防衛という意味合いは薄れてきている。
執筆者:大串 和雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報