化学辞典 第2版 「メタケイ酸」の解説
メタケイ酸(塩)
メタケイサンエン
metasilicic acid(metasilicate)
組成式 (H2SiO3)n に相当するポリ酸と,その塩に対してIUPACが受け入れる伝統名.メタはオルトケイ酸H4SiO4から水一分子を除いた組成を意味する.四面体型のSiO4が頂点のOを共有して鎖状につながった構造をもつ.
酸:(H2SiO3)n(78.10×n).構造式に対するIUPAC体系名(付加方式)はcatena-ポリ(ジヒドロキシドケイ素-μ-オキシド).メタケイ酸ナトリウムに酸を作用させると得られる.または,オルトケイ酸をエタノールやアセトンで脱水してつくる.白色の粉末.密度2.1~2.3 g cm-3.空気中に放置したり,加熱したりすると水を失う.水,塩酸,硫酸などに不溶.アルカリ水溶液やフッ化水素に可溶.[CAS 7699-41-4]
塩:構造式に対するIUPAC体系名はcatena-ポリ(ジオキシドケイ酸-μ-オキシド(1-)).天然には,頑火輝石 (MgSiO3)n,透輝石 [CaMg(SiO3)2]n,バラ輝石 (MnSiO3)n などの輝石類や,ケイ灰石 (CaSiO3)n などが産出する.Na2SiO3・nH2OはSiO2とNa2CO3とを混合し,融解,反応させて合成する.アルカリ金属塩は,鋳物工業のバインダー,紙加工業で段ボールなどの接着剤,水処理剤,土木工事の土壌凝固剤,金属表面防食剤,洗剤助剤,など広範囲の用途がある.[CAS 84992-49-4:Na塩]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報