モネオ(読み)もねお(その他表記)Rafael Moneo

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モネオ」の意味・わかりやすい解説

モネオ
もねお
Rafael Moneo
(1937― )

スペインの建築家。ナバラ州トゥデラに生まれる。マドリード建築大学で学び、1961年に卒業した。その間、1958~1961年、建築家フランシスコ・ハビエル・サエンス・デ・オイサFrancisco Javier Sáenz de Oiza(1918―2000)の実務修習生を務める。1961~1962年デンマークのヨーン・ウッツォンJørn Utzon(1918―2008)のもとで働き、1963~1965年にはローマのスペイン・アカデミーで学んだ。その後、1966~1970年、1980~1985年にはマドリード建築大学で、1970~1980年にはバルセロナ建築大学で教鞭をとる。この間、アメリカに招聘(しょうへい)され、1976~1977年にはニューヨークの建築都市研究所(IAUS)客員研究員とクーパー・ユニオン客員教授として、さらに1970年代終わりから1980年代初めにかけては、プリンストン大学とハーバード大学スイスのローザンヌ連邦工科大学で客員教授として教鞭をとる。1985年からは、ハーバード大学大学院建築学科で、1995年まで学科長を務めたのちも教鞭をとりつつ、スペインを代表する国際的建築家として活動を続ける。

 モネオは、「建築と敷地の関係」「建築と時間の関係」「建築の特殊性」という三つを建築の本質と考える。そして、建設行為は敷地を変革することにより新たな歴史的役割を果たすという考え方にもとづき、設計プロセスにおいては、建築の敷地とその周辺環境を正しく把握し、立地条件に対して最良の応答を行うことをもっとも重視している。世界的に注目を浴びた国立古代ローマ博物館(1986、メリダ)は、ローマ時代の遺跡上に建てられており、地下部分は遺跡そのものを展示物としている。1階の吹き抜け空間では、平行して連立する内壁群にアーチ型開口部を穿(うが)ち壮大な奥行き感覚を生み出すとともに、上部横方向から差し込む光により古代建築を想起させる。

 1990年代以降は、デービス博物館・文化センター(1993、アメリカ、マサチューセッツ州ウェルズリー)をはじめとして、海外の仕事が増え国際的に活動している。そのほかのおもな作品に、バンキンター銀行(1976、マドリード)、サン・パブロ空港(1992、セビーリャ)、アトチャ鉄道駅(1992、マドリード)、ピラー&ホアン・ミロ財団社屋(1992、マジョルカ島)、ストックホルム近代美術館・建築博物館(1998)、ムルシア新市庁舎(1998)、バルセロナ・コンサート・ホール(1999)、クールサール劇場・国際会議場(1999、サン・セバスティアン)などがある。1992年にはスペイン政府の芸術ゴールド・メダルを、1993年には米国芸術アカデミーからアーノルド・ブルンナー記念建築賞を、1996年にはプリツカー賞を受賞するなど、多くの国際的建築賞を受賞している。

秋元 馨]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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