メリダ(読み)めりだ(英語表記)Mérida

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メリダ」の意味・わかりやすい解説

メリダ(スペイン)
めりだ
Mérida

スペイン南西部、エストレマドゥーラ地方バダホス県の都市。人口5万0271(2001)。西流するグアディアナ川北東岸、標高221メートルに位置する。サラマンカセビーリャマドリードリスボンを結ぶ交通中継地点。ローマ時代にエメリタ・アウグスタEmerita Augustaの名で建設され、ルシタニア地方の首都、文化的中心地として栄え、中世にはエストレマドゥーラ地方の中心市場町として繁栄した。1950年代のグアディアナ川開発計画「バダホス計画」の実施により灌漑(かんがい)畑が広がり、綿紡績、ビール醸造およびコルクの工場が立地する。伝統的に労働力移出地域であったが、近年は周辺の労働力を集め、移出入均衡を保っている。ローマ時代の遺跡に富み、橋、劇場、円形闘技場(収容人員1万4000人)、住居址(し)などがよく保存されている。その橋を守るためにイスラム教徒が築いたアルカサバ(要塞(ようさい))もある。

[田辺 裕・滝沢由美子]

世界遺産の登録

ローマ時代の遺跡群が1993年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「メリダの遺跡群」として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。

[編集部]


メリダ(メキシコ)
めりだ
Mérida

メキシコ南東部、ユカタン半島にあるユカタン州の州都。人口66万2530(2000)。1542年、古代マヤの都市跡に建設された。町並みが白壁に囲まれているため、「白亜の町」といわれる。ヘネケン栽培の中心地で、ヘネケンはサイザル麻として近くのシザル港より輸出される。石灰岩地域であるが、風車により揚水灌漑(かんがい)が行われている。南70キロメートルにウシュマル、東124キロメートルにチチェン・イツァーの広大なマヤ遺跡がある。同市のユカタン大学には野口英世(ひでよ)の胸像がある。

[高木秀樹]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メリダ」の意味・わかりやすい解説

メリダ
Mérida

ベネズエラ北西部,メリダ州の州都。メリダ山脈中部,チャマ川の広い河岸段丘に位置し,標高約 1640m。低緯度にあるが,標高が高いため気候は快適で,年平均気温 18℃。 1558年建設。しばしば地震の被害を受け,また高所にあり交通の便が悪かったため発展が妨げられたが,古くから宗教と教育の中心地で,市内には大聖堂,修道院,アンデス大学 (1785) などがある。 1930年代なかば以降,北東の首都カラカス方面,北西のマラカイボ低地,南のリャノス方面などへ道路が通じるとともに,周辺一帯の商工業中心地となり,コーヒー,サトウキビ,小麦などを集散し,織物,たばこ,紐類,植物油,家具などを製造する。また果実の砂糖煮,ルアナ (ポンチョのような毛織物のマント) などの特産品がある。周辺には 4000m級の高峰が多く,その一つエスペホ山 (4836m) へは長さ 12kmのケーブルカーが通じ,スキーや登山も楽しめるため,観光客が多い。人口 16万 7992 (1990) 。

メリダ
Mérida

メキシコ東部,ユカタン州の州都。ユカタン半島最大の都市で,同半島北西部に位置する。インディオのマヤ族の古代都市があった地に 1542年にスペイン人 F.モンテホによって建設された。周辺の石灰岩台地はヘネケン (繊維植物) の世界的産地で,市はその集散・加工地として発展。またチチェン・イツァ,ウシュマル,ジビルチャルトゥン,カバなど州内各地にあるマヤ遺跡への観光基地としてもにぎわう。言語や衣装など,インディオ文化の影響が色濃く残っている。市内にはモンテホ宮殿 (1549) ,大聖堂 (16世紀) をはじめとする植民地時代の古い建築物や,考古学博物館,ユカタン大学 (1624) ,メリダ工科大学 (1961) などの文教施設がある。メキシコ内陸部からの幹線道路,鉄道が市まで通じる。北約 30kmのメキシコ湾岸に外港プログレソがあり,鉄道,道路で連絡。人口 55万 7340 (1990推計) 。

メリダ
Mérida

スペイン西部,エストレマドゥラ州南部,バダホス県の都市。グアディアナ川の右岸に位置する。エメリタ・アウグスタの名で前 25年に建設された。ローマの属州ルシタニアの首都としてイベリア半島有数の都市となり,9万人の守備隊を収容した。ローマ時代の建造物が多数残っていて,1993年世界遺産の文化遺産に登録されている。特に 81のアーチをもつ橋が有名。主産業は農産物の集散と観光業。人口4万 7982 (1991推計) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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