改訂新版 世界大百科事典 「ヤンコ」の意味・わかりやすい解説
ヤンコ (秧歌)
yāng gē
中国の陝西から河北,東北の北方の農村に行われた農民の祭り歌(踊りをともなう)。もともと秧歌は田植歌をさし,明代にはすでにあった。のち踊りが加わり,清代には秧歌戯という舞踏劇が形づくられた。地方により特徴は違うが,鑼鼓(らこ)に合わせて,扇子,手ぬぐいなどを小道具に,歌い舞う素朴な歌舞である。抗日戦争期に延安を中心とする解放区で,毛沢東の《文芸講話》の路線にもとづいて,旧秧歌に手を加え,革命的内容を盛り込んだ秧歌劇が創出された。〈兄妹開荒〉はもっとも大衆にうけた演目である。やがて秧歌劇は革命の進展にともない,40年代後半には革命の象徴として全国的に大流行した。新中国の成立後も,盛んに演じられている。
執筆者:吉田 富夫
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