化学辞典 第2版 「ヤンダーの式」の解説
ヤンダーの式
ヤンダーノシキ
Jander's equation
固相反応のもっとも普遍的な速度式.1927年,W. Janderが粉末間反応
A(s) + B(s) = C(s)
において,A成分(半径 = rA)が過剰でB成分粒子(半径 = rB)の周囲を完全にあたかも液体のように覆い,かつ成分C中のA成分の拡散が律速であるというヤンダーの模型を仮定し,導出した式.
{1 - (1 - α)1/3}2 = kt
ここで,
k = k′/rB2,
k′はA成分の拡散係数により決まる定数,αは反応率である.近似式ではあるが,多くの実験結果を説明することができる.粉体反応でヤンダー模型が成立するためには,理論的には
rB/rA≫1
で,かつA成分が過剰であることが必要である.一般には,このような条件が満足されない場合でも,ヤンダーの式が適用できるのは表面拡散が体積拡散に比べて十分に速く,反応式初期に球殻状に生成物ができるからである.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報