ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンモドゥス」の意味・わかりやすい解説
コンモドゥス
Commodus, Lucius Aelius Aurelius
[没]192.12.31. ローマ
ローマ皇帝(在位 177~192)。五賢帝の一人マルクス・アウレリウス帝の子だが,狂気,暗愚の皇帝として有名。177年共治帝となり,父とともにドナウ川に侵攻したゲルマン人と対戦したが,180年に父帝が没すると単独統治帝となり,ただちに和を結び,のちのゲルマン侵入を防ぎえたかもしれない父帝の計画を放棄した。政治を寵臣にまかせ,気まぐれ,逸楽にふけり,2度も自分の宰相が軍隊や暴徒に殺害されるのを許した。やがて狂気に陥り,ローマをコロニア・コンモディアナ(コンモドゥス市)と改称,みずからをヘルクレス神と信じ,勇気を示すために剣闘士奴隷(グラディアトル)として戦ったり,ライオンを殺したりした。剣闘士奴隷の服装で執政官(コンスル)に就任すると宣言して民衆を激高させ,192年愛人マルキアらの陰謀で絞殺された。
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