化学辞典 第2版 「固相反応」の解説
固相反応
コソウハンノウ
solid state reaction
広義には,固相の関与する反応と定義されるが,狭義には,固相-固相反応と定義されている.固体反応という用語は狭義の場合に用いられるようであるが,固相反応との区別は厳密ではない.この反応はトポケミカルな反応の代表的なもので,反応過程では均一系における濃度の概念は適用されない.反応形式の代表的なものに次のものがある.
(1) A(s) + B(s) → C(s)
例,NiO(s) + Al2O3(s) → NiAl2O4(s)
(2) A(s) + B(s) → C(s) + D(gあるいはl)
例,BaCO3(s) + TiO2(s) →
BaTiO3(s) + CO2(g)
(3) A(s) + B(s) → C(s) + D(s)
例,NaI(s) + KBr(s) → NaBr(s) + KI(s)
純固相反応である,形式(1)および(3)では化学平衡はなく,反応は1成分がなくなるまで進行するが,形式(2)には平衡状態がある.反応は
(ⅰ)相境界過程,
(ⅱ)生成物相中の拡散,
(ⅲ)生成物の核生成および成長の過程,
よりなっている.一般には,反応は拡散律速で,多くの速度式,たとえばヤンダーの式が提出されている.工業的には,フェライト,スピネル,誘電体などの合成に利用されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報