ヨウ・チン・おくる・われ

普及版 字通 の解説


10画

(異体字)
12画

[字音] ヨウ・チン
[字訓] おくる・われ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
正字はに作り、舟+(そう)。〔説文八下に「我なり」と訓するが、その形義については「闕」、すなわち未詳とする。また音を「直禁切(チン)」とする。天子一人の称として用いる。古く卜文・金文にも一人称として用いるが、その古音はおそらく送(ようそう)のの音であったかと思われる。舟は盤、はものを両手で奉ずる形、に従う字は、みなこのの声義を承ける。(送)の初文である。

[訓義]
1. おくる。
2. われ、古くは予・余(よ)に近い音であった。のち「チン」の音でよみ、天子一人の称とする。

[古辞書の訓]
名義抄 ワレ 〔字鏡集〕 ワレ・キザシ

[声系]
〔説文〕に(よう)声として(謄)・(勝)など十二字を収めるが、一として「直禁切」の声に従うものはない。は盤にものを奉じて送する意で、がその本音、の音はその転音と考えられる。

[語系]
jingは同声。みな送る意がある。は〔説文〕未収の字であるが、〔説文〕八上に「るなり」とあり、「呂不曰く、氏(いうしんし)、伊尹(いゐん)を以て女を(おく)る」の文を引き、同字とする。は古く余・予jiaと声近く、それでもまた一人称として用いられたのであろう。天子には予一人・余一人という。も同じ語で、のち音をかえて、天子一人の専称としたものと思われる。語彙は朕(ちん)字条参照。

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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