ヨーロッパ人権裁判所(読み)ヨーロッパじんけんさいばんしょ(英語表記)European Court of Human Rights

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨーロッパ人権裁判所」の意味・わかりやすい解説

ヨーロッパ人権裁判所
ヨーロッパじんけんさいばんしょ
European Court of Human Rights

国際法史上初の人権保護のための裁判所。ヨーロッパ人権条約の実施保障機関として,人権委員会とともに設置された。実際の発足は 1958年9月3日。裁判官ヨーロッパ審議会の加盟国と同数とし,裁判管轄権は,ヨーロッパ人権条約解釈ならびに適用に関するすべての事件に及ぶ。締約国およびヨーロッパ人権委員会のみが訴訟当事者となる。人権委員会と異なり,個人の提訴は認められない。ただし,この条約を補完する議定書の第9号 (1992) では,人権委員会による事件の受理を条件に,個人が裁判所に提訴する権利を認めている。 61年の初判決以来,約 360の判決を下している。所在地はフランスストラスブール

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世界大百科事典(旧版)内のヨーロッパ人権裁判所の言及

【ヨーロッパ人権条約】より

…この条約の最大の特色は,条約の履行を確保するための措置,いわゆる実施措置にあり,国際人権規約も米州人権条約も実施措置の面ではこの条約をモデルにしている。この条約はヨーロッパ人権委員会,ヨーロッパ人権裁判所を設置し,委員会には個人も提訴できるシステムを採用していたが,1998年11月1日に発効する第11議定書によって全面的に改められ,裁判所と委員会は廃止され,新裁判所がこれにとってかわる。1996年末までに約3万5000件の個人の申立てがなされ,そのうち約8割が自国政府の人権侵害を訴えた。…

※「ヨーロッパ人権裁判所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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