改訂新版 世界大百科事典 「ヨーロッパ審議会」の意味・わかりやすい解説
ヨーロッパ審議会 (ヨーロッパしんぎかい)
Council of Europe
ヨーロッパ統一の思潮を背景にイギリスとフランスが中心になって1949年に創設された国際協議機関。欧州会議,欧州評議会とも訳す。同年1月のブリュッセル条約機構で設立が決定され,フランスのストラスブールに事務局がある。当初は西ヨーロッパ10ヵ国で発足したが,1980年代末以降に東欧諸国,ロシア,ウクライナ,バルト3国なども加わり,2005年現在46ヵ国が加盟している。アメリカ,カナダなどと並び,96年11月から日本もオブザーバーとなっている。ヨーロッパ審議会は人権と基本的自由,法の支配を指導理念とし,国防問題を除く一般的問題を審議し,EU(ヨーロッパ連合)よりも広い範囲でのヨーロッパ統合を目指している。閣僚委員会(年2回会合,2004年から年1回の開催)と総会Parliamentary Assembly(年に1会期。通常4回に分かれる)を主要機関とする。閣僚委員会は各国外相で構成され,全会一致の決議をする。総会は各国議会の代表(人口比で2~18名)で構成され,これは史上最初の国際議会であった(2005年1月現在,630人で構成)。ヨーロッパ審議会の議会は,経済協力開発機構(OECD)の活動報告も審議する。この国際議会の発議でヨーロッパ人権条約が締結(1950)され,ヨーロッパ人権裁判所が設立されており,個人,民間団体の提訴権が認められている。
執筆者:中原 喜一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報