日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨーロッパ国際道路網」の意味・わかりやすい解説
ヨーロッパ国際道路網
よーろっぱこくさいどうろもう
The International E-Road Network
ヨーロッパ域内諸国の関係緊密化と国際道路交通の発展を期するための道路網計画。国際連合のヨーロッパ経済委員会は、1950年に「国際幹線道路網の建設に関する宣言」を起草し、アジアのトルコまでを含んだほとんどのヨーロッパ諸国の同意を得た。さらに、75年起草の「主要国際交通幹線に関するヨーロッパ協定」(83年に8か国が調印)では、幹線・補助幹線からなる国際道路網の指定、その統一された番号づけ、および標識の統一を定めた。各路線にはそれぞれの国内番号のほかにEの記号を冠した番号が付され、それが緑の地に白字で書かれた標識で示されることとなった。南北方向の幹線は西から東に向かって増加する2桁(けた)の奇数番号、東西幹線は北から南へ向かって増加する2桁の偶数番号で表される。そのなかで骨格をなす主要な南北幹線の番号は5で、東西幹線の番号は0で終わっている。また、その設計基準も作成され、可能な限りの道路規格の統一が図られている。たとえばヨーロッパ連合(EU)は、ヨーロッパ国際道路網における長さ500メートル以上のトンネルに関して、安全基準を提案、各国にインフラストラクチャーおよび管理の面で、行政的・技術的対応を求めている。また、ヨーロッパ地域開発基金からも、地中海沿岸総合開発プログラムなどの国境を越える地域開発プロジェクトの道路整備に融資が行われている。このような国際道路網は、ヨーロッパ各国相互の通商、文化交流、ツーリズムの発展など、ヨーロッパの一体的発展に寄与している。
[武田文夫]