インフラストラクチャー(読み)いんふらすとらくちゃー(英語表記)infrastructure

翻訳|infrastructure

デジタル大辞泉 「インフラストラクチャー」の意味・読み・例文・類語

インフラストラクチャー(infrastructure)

下部構造の意》社会的経済基盤と社会的生産基盤とを形成するものの総称。道路・港湾・河川・鉄道・通信情報施設下水道・学校・病院・公園公営住宅などが含まれる。インフラ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「インフラストラクチャー」の意味・読み・例文・類語

インフラストラクチャー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] infrastructure )
  2. かぶこうぞう(下部構造)
  3. 都市の基幹的な部分。道路、鉄道、上下水道のように、都会の一般建築より寿命も長く、長期的展望を必要とするもの。インフラ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「インフラストラクチャー」の意味・わかりやすい解説

インフラストラクチャー
いんふらすとらくちゃー
infrastructure

産業や生活の基盤を形成する施設の総称。インフラと略称され、社会資本と同義語として用いられることが多い。道路、港湾、鉄道、空港、工業用水といった産業基盤となる施設や住宅、環境衛生、上・下水道、公園、学校などの生活基盤となる施設が含まれる。さらに最近では、病院、福祉施設などの厚生福祉施設や情報通信網なども含まれる。

 これらの社会資本は通常政府によって整備される。それは、社会資本が次のような性質をもつためである。第一に、それらが生み出すサービスは国民全般に及ぶという性質があり、市場機構に委ねた場合には社会的にみて望ましい量が実現されない。第二に、外部経済効果をもつ財・サービスを供給するために必要な資本の整備を民間に任せると、社会的必要量に比べて不足が生じる。第三に、大規模事業では必要とされる資金が莫大(ばくだい)で、民間だけでは調達が困難であること。最後に第四として、それらのサービスが及ぶ地域において、サービスの供給が独占的な性格を有し、独占の弊害が生じたり、供給が不安定になったりするからである。

 また、政府による社会資本への投資は、短期的には需要をつくりだし、長期的には、建設された社会資本が生み出すサービスが国民生活や産業活動に影響を与えることになる。国や地方公共団体などによって実施される行政投資のうち、生活基盤投資は50%弱、産業基盤投資は20%強を占めている。また、生活基盤となる施設はおもにわれわれの生活に身近な市町村によって整備されており、産業基盤となる施設はおもに国と都道府県によって整備されている。

 日本は、基本的な社会資本については欧米諸国と比べていちおうの水準に達しているが、かならずしも十分でない分野も残されている。今後は新たな産業の展開を図り、国民生活の質の向上に資するために、情報通信基盤、環境衛生施設等の整備が必要であろう。

[羽田 亨]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「インフラストラクチャー」の意味・わかりやすい解説

インフラストラクチャー
infrastructure

本来は下部構造,下部組織の意味であるが,今日最も多く使用されるのは経済の下部構造の意味である。経済には,それ自体では直接的には生産的ではないが,財・サービスの生産に間接的に貢献する資本が存在する。その典型は,道路,水路,港湾,空港等の交通・通信施設,動力・エネルギー関係施設,上下水道・灌漑・排水施設であり,これらは固有の(狭義の)インフラストラクチャーを構成する。これに,学校,博物館等の教育・文化施設,保健・医療・福祉等の施設,国土保全・都市計画関係等の諸施設を加えて,それなしでは生産活動や国民生活が成り立たなくなるような,一般的な経済活動の基礎条件を構成する資本施設が広義のインフラストラクチャーである。これは〈社会資本〉あるいは〈社会的間接資本〉とよばれるものにほかならず,その効果が間接的であるために,市場機構を通じては十分な供給が必ずしも保証されない,という特性をもっており,なんらかの形で政府が責任をもってその充足を図らなければならない。なおマルクス主義の〈土台=下部構造〉の英語訳としても使われる。
社会資本
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「インフラストラクチャー」の意味・わかりやすい解説

インフラストラクチャー

社会基盤のことをいう。土台または下部構造がもとの意。経済用語としては,経済発展の基盤となる港湾,水路,鉄道,自動車道路,空港,通信施設などの交通・通信施設から,発電所などの動力・エネルギー施設,上下水道・灌漑(かんがい)・排水施設,生活関連の学校,病院,公園,公営住宅,社会福祉施設なども含めることがあり,これは社会資本と同義である。
→関連項目輸入促進地域

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インフラストラクチャー」の意味・わかりやすい解説

インフラストラクチャー
infrastructure

私的経済活動の基盤となるような施設,制度などをさし,長期にわたって変化の少いものをいう。具体的には,電力などのエネルギー産業,道路・港湾などの輸送施設,電信・電話などの通信施設,都市計画における公園,上下水道,河川などの都市施設をさす。都市整備と産業発展をはかるうえでは欠かせないものである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のインフラストラクチャーの言及

【交通投資】より

…したがって,そこに政府ないし政府関係機関が介在してくるのが一般的である。交通サービスの供給には,(1)鉄道線路,道路,空港,港湾等の通路,ターミナル,(2)鉄道車両,自動車,航空機,船舶等の交通用具,(3)交通用具を稼働させるための動力,(4)運行管理が必要とされ,そのすべてが整えられなければならないが,交通投資といった場合には,多くの資本を要する通路,ターミナルの基礎施設(インフラストラクチャー)がその対象となる。線路を自ら建設する鉄道の場合を除いては,インフラストラクチャーへの投資主体と利用主体とは異るのが普通である。…

※「インフラストラクチャー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android