文化交流(読み)ぶんかこうりゅう(英語表記)cultural exchange

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文化交流」の意味・わかりやすい解説

文化交流
ぶんかこうりゅう
cultural exchange

一般には,異文化間の相互理解を深めるための諸活動をさす。今日の国際社会は,それぞれ独自の文化をもって形成された国民国家を主要な構成要素とするところから,国際関係に重要な位置を占める活動形態であるが,国際社会の性格の変遷に対応して変化している。歴史上,異文化間の文化の接触伝播は,主として国家間の政治的,軍事的,経済的な支配と被支配関係の拡大に随伴して,拡散的伝播の形をとってきた。文化交流が国家の国際的活動の独自の領域と認められ,意図的に推進されるようになったのは,各国の国民が国内政治,国際政治に登場してきた第1次世界大戦以後のことである。しかし,両大戦間の期間はなお政府の政治的,経済的外交活動に従属して行われ,一方通行的な広報や文化輸出と十分に切り離されることもなかった。今日では,文化交流とは多様な個別文化にそれぞれの独自性と基本的な平等性を認め,国際社会の平和な発展を目指す諸活動を意味するようになった。このような文化交流が推進されるようになった背後には,戦争の一つの原因が国民間誤解偏見にあったとするユネスコなどの思想がある。具体的な活動形態には自国文化の紹介と外国文化への接触,および政府機関レベルの活動と民間レベルの活動とがあり,未来の国際的文化共同体を形成していくための理念組織の研究をはじめ,人物交流,留学生交換,各国文化の相互理解を深めるための学校教育,社会教育計画の立案実践のほか芸術,芸能の交流などが含まれる。

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