ラウス肉腫(読み)らうすにくしゅ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラウス肉腫」の意味・わかりやすい解説

ラウス肉腫
らうすにくしゅ

ニワトリの紡錘形細胞肉腫で、1911年アメリカの病理学者ラウスがウイルスによって伝達されることを発見した。これによって彼は1966年にノーベル医学生理学賞を受賞した。ラウス肉腫は、腫瘍(しゅよう)のウイルス発生説の代表とされている。腫瘍ウイルスは、ウイルス粒子に含まれている核酸がデオキシリボ核酸DNA)であるか、リボ核酸(RNA)であるかによって大きく2種類に分けられており、さらにRNA腫瘍ウイルスは、電子顕微鏡的観察による形態から、B型とC型とに分類されている。ラウス肉腫ウイルスは、直径100ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の大きさで、C型RNA腫瘍ウイルスに属している。DNA腫瘍ウイルスはパポーバウイルス、アデノウイルスヘルペスウイルス、ポックスウイルス群等に分類されるが、RNA腫瘍ウイルスはミクソウイルス群に含まれる。ラウス肉腫のほか、マウスの肉腫、乳癌(にゅうがん)、白血病、トリ白血病などがRNA腫瘍ウイルスによるものとしてあげられている。

渡辺 裕]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android