日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ラ・トゥール・デュ・パン
らとぅーるでゅぱん
Patrice de La Tour du Pin
(1911―1975)
フランスの詩人。パリ生まれ。名門貴族の出身で、少年時代をソローニュの古城で送り、神秘的な夢想と人間主義的な叙情をあわせもつ詩風をひとり育てた。詩集『喜びの探求』La Quête de joie(1933)で世に迎えられ、のち、それまでの全詩作をまとめた『総詩集』(1946)の大冊を出した。彼の詩風は、現実社会から離れて個人的体験を宇宙的な叙事詩に高めようとする形而上(けいじじょう)的志向が際だっているが、晩年にはしだいに神学的な境地を深め、『生のためのたたかい』Une lutte pour la vie(1970)などの著作がある。
[安藤元雄]