ラレス(その他表記)Lares

改訂新版 世界大百科事典 「ラレス」の意味・わかりやすい解説

ラレス
Lares

古代ローマの宗教で,さまざまな場所の守護神。単数形はラルLarであるが,一般に複数形ラレスが用いられる。とりわけ家族の守護神ラレス・ファミリアレスLares Familiaresは,ペナテスとともにすべての家の小さな祠堂神像が安置され,暦の特定の日や結婚式のように,なにか家族に重要なできごとがあった日に,供物をそなえて拝まれた。このほか四つ辻の守護神ラレス・コンピタレスLares Compitales,道路と旅人の守護神ラレス・ウィアレスLares Viales,国家の守護神ラレス・プラエスティテスLares Praestitesなどがあり,最後のものはローマ市の聖道Via Sacraの最高地点に神殿があった。ラレスの像は,短衣をまとい,手に〈豊穣の角(コルヌコピア)〉をもった少年で表現された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラレス」の意味・わかりやすい解説

ラレス
Lares

古代ローマの家の守護神たち。神話によれば,母親ララはあるとき,ユピテルから,かねて求愛しているニンフユトゥルナに対する思いをとげるための助けを求められたが,最高神を裏切って,その計画ユノとユトゥルナに告げ口してしまった。怒ったユピテルは,ララの舌を抜取り,メルクリウスに命じ,彼女を地下界に連れていかせたが,この女神を愛したメルクリウスは途中で彼女と交わり,ラレスたちを生ませたという。家のほかに,道や,畑,四つ辻などもラレスの保護を受けると信じられた。

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世界大百科事典(旧版)内のラレスの言及

【ローマ】より

… 今やローマの国家構造と支配の一大変革期であった。この変革期を乗り切るために,ローマの支配層は,民会を基礎にして政治を動かそうとする民衆派(ポプラレス)と,元老院の権威を背景に事を進めようとする閥族派(オプティマテス)に分かれて,権力闘争を繰り広げた。こうして,マリウス派を一掃して殺戮し恐怖政治を敷いた閥族派スラ,スラの外征中に一時政権を握った民衆派のキンナ,スラの死(前78)後,再び民衆派路線に復帰した,かつてのスラの領袖ポンペイウスとクラッスス,そして再び元老院に接近したポンペイウスを倒すカエサルらが相次いで現れた。…

※「ラレス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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