ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リッチラー」の意味・わかりやすい解説
リッチラー
Richler, Mordecai
[没]2001.7.3. モントリオール
カナダの作家。生まれ故郷ケベック州の富者と貧者を大胆な風刺で鮮やかに表現した。フランス語を話す住民が 80%を占めるケベック州でユダヤ人くず金属商の息子として生まれた。この「少数派のなかの少数派」という立場がのちのリッチラーの作品に大きな影響を及ぼした。1950年モントリオールのサー・ジョージ・ウィリアムズ大学に進んだものの,小説家になる夢をかなえるため 1951年に中退,パリに居を移して執筆を続け,実存主義の影響を受けた。1952年にカナダに帰国。1954年に初の小説 "The Acrobats"を発表,その後イギリスに渡り,1970年代にモントリオールに戻った。1959年に発表した "The Apprenticeship of Duddy Kraviz"で認められ,1968年に『おんどり』Cocksure,1971年に『セント・アーベインの騎士』St. Urbain's Horsemenで 2度のカナダ総督賞を受賞した。その辛辣な作品は高く評価されると同時に,物議をかもすことも多かった。フランス語を重用し英語を冷遇するケベック州言語法を厳しく批判した。1999年カナダ勲章を授与された。(→カナダ文学)
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