アメリカ合衆国では,19世紀前半から,大学で必要な学習スキルが不足している学生が入学していることへの懸念が広がり,1852年にはミシガン大学学長タッパンが小学校レベルの教育が必要な学生も入学し,レベルを下げていることに警告を発していた。1874年にハーヴァード大学は,作文能力の低い学生向け授業を開始した。これらの学生は予備教育デパートメントで教育を受け,19世紀末には,学生の40%に達していたといわれる。ヨーロッパの大学は,学問ベースのカリキュラムで大学進学を目的とする中等教育を修了した学生を入学させるので,問題は発生しなかった。アメリカでこれらの教育は補完教育(アメリカ)(developmental education)と呼ばれていたが,1965年の高等教育法により機会等が推進されることで,ハンディキャップのある学生の入学を促進し,補完教育は補修教育(アメリカ)(remedial education)と呼ばれるようになった。
著者: 羽田貴史
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
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