リンザー(読み)りんざー(英語表記)Luise Rinser

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンザー」の意味・わかりやすい解説

リンザー
りんざー
Luise Rinser
(1911―2002)

ドイツの女流小説家。ピッツリング生まれ。1939年『波紋』を執筆、40年出版し文壇に登場した。カトリック的秩序調和を示す発展小説『ニーナ』(1961)をはじめ、子供や女性の心理的変転を描いた多くの長編小説を発表する一方、『普請場』(1970)、『われら故郷なきもの』(1992)などの日記においては、現実の諸問題についても考察をめぐらせている。ナチス時代に反逆罪で逮捕された体験を『獄中日記』(1946)や自伝『狼(おおかみ)を抱擁する』(1981)にまとめている。このほかにダライ・ラマ14世との対話を記録した『ダライ・ラマ平和を語る』(1995)などの著作がある。1981年(昭和56)に来日した。

[横塚祥隆]

『上田真而子訳『波紋』(岩波少年文庫)』『中澤英雄訳『ダライ・ラマ平和を語る』(2000・人文書院)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リンザー」の意味・わかりやすい解説

リンザー
Rinser, Luise

[生]1911.4.30. オーバーバイエルン,ピッツリング
[没]2002.3.17. バイエルン,ウンターハヒング
ドイツの女流作家。ミュンヘン大学卒業後,小学校の教員をしながら創作し,1940年に発表した処女作『ガラスの波紋』 Die gläsernen Ringeで有名になる。翌年ナチスによって執筆を禁止され,さらに 1944年には国家反逆罪で投獄され,終戦まで獄中にあった。『獄中日記』 Gefängnis-Tagebuch (1946) はこの体験をまとめたもの。ほかに小説『人生のなかば』 Mitte des Lebens (1950) ,『ダニエラ』 Daniela (1953) ,自伝的小説『狼を抱く-暗闇で歌う』 Den Wolf Umarmen-Im Dunkeln Singen (1985) など。

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