日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンザー」の意味・わかりやすい解説
リンザー
りんざー
Luise Rinser
(1911―2002)
ドイツの女流小説家。ピッツリング生まれ。1939年『波紋』を執筆、40年出版し文壇に登場した。カトリック的秩序と調和を示す発展小説『ニーナ』(1961)をはじめ、子供や女性の心理的変転を描いた多くの長編小説を発表する一方、『普請場』(1970)、『われら故郷なきもの』(1992)などの日記においては、現実の諸問題についても考察をめぐらせている。ナチス時代に反逆罪で逮捕された体験を『獄中日記』(1946)や自伝『狼(おおかみ)を抱擁する』(1981)にまとめている。このほかにダライ・ラマ14世との対話を記録した『ダライ・ラマ平和を語る』(1995)などの著作がある。1981年(昭和56)に来日した。
[横塚祥隆]
『上田真而子訳『波紋』(岩波少年文庫)』▽『中澤英雄訳『ダライ・ラマ平和を語る』(2000・人文書院)』