ルクレティア(英語表記)Lucretia

改訂新版 世界大百科事典 「ルクレティア」の意味・わかりやすい解説

ルクレティア
Lucretia

前510年ごろ没したとされる,古代ローマの伝説上の貞女。伝説によれば彼女はタルクイニウス・コラティヌスの美貌の妻であったが,ローマ王タルクイニウス・スペルブスの子セクストゥスに強姦され,親族復讐を託して自害した。彼女の死は王一族の暴政に対するローマ市民憎悪をかきたて,彼らは蜂起して王を追放し,共和政を樹立したと伝えられる(前509)。彼女の悲劇そのものは史実とは認められない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルクレティア」の意味・わかりやすい解説

ルクレティア
るくれてぃあ
Lucretia

古代ローマの伝説上の人物。タルクィニウス・コラティヌスの貞淑な妻であったが、ローマ王タルクィニウス・スペルブスの息子に陵辱され、自殺した。この事件は、王の暴君ぶりと相まって市民の武装蜂起(ほうき)を招き、王は追放されて共和政が樹立される契機となった、と伝えられている。彼女の悲劇的な死は、ヨーロッパ美術・文学作品の格好題材となった。

田村 孝]

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