改訂新版 世界大百科事典 「ルーウェリン」の意味・わかりやすい解説
ルーウェリン
Karl Nickerson Llewellyn
生没年:1893-1962
アメリカにおけるリアリズム法学の代表的存在。イェール・ロー・スクール卒業後母校で商法学の教鞭をとったがほどなくして弁護士になり,再び母校に戻り,ついで1924年コロンビア・ロー・スクールに転じた。30年《リアリズム法学--次のステップ》と題する本を出版し,これが法学におけるリアリズムをめぐる論争を促す結果になった。商法を専攻したルーウェリンはリアリズムの方法論を商法に応用して,アメリカ統一商法典(U.C.C.)を起草し,これはアメリカにおいて,法として行われている。51年シカゴ大学に移った。法律扶助協会やアメリカ人権協会のメンバーとして,不遇な人々のための法律救援活動を行ったことでも有名である。
同じリアリストのジェローム・フランクは,ルーウェリンの方法論を批評して,法の不確実性ないし判決の予測不能性の原因を法規範の不確実性に求める意味において規範懐疑論であるとし,その原因を事実認定の不確実性に求める自己の立場すなわち事実懐疑論と区別した。
執筆者:古賀 正義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報