ループス腎炎(読み)ループスじんえん(その他表記)Lupus nephritis

六訂版 家庭医学大全科 「ループス腎炎」の解説

ループス腎炎
ループスじんえん
Lupus nephritis
(子どもの病気)

どんな病気か

 全身性エリテマトーデスSLE)に合併する糸球体腎炎です。

原因は何か

 SLEは自己免疫が関係する原因不明の慢性炎症性疾患です。

症状の現れ方

 SLEは圧倒的に女子に多く、顔面蝶形紅斑(がんめんちょうけいこうはん)光線過敏症(こうせんかびんしょう)、関節炎、胸膜炎(きょうまくえん)、腎障害、神経障害などさまざまな症状がみられます。

検査と診断

 自己抗体抗核抗体(こうかくこうたい)、抗DNA抗体、抗リン脂質抗体)が陽性で、補体(ほたい)が低下していれば、SLEが疑われます。ループス腎炎は、尿検査と腎生検(組織をとって調べる)で診断します。

治療の方法

 副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制薬の投与主体ですが、治りにくく長い経過をたどります。SLEの死因の第1位は腎不全です。

病気に気づいたらどうする

 小児科を受診してください。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ループス腎炎」の意味・わかりやすい解説

ループス腎炎
ループスじんえん
lupus nephritis

全身性エリテマトーデス (SLE) に見られる蛋白尿,高血圧,浮腫 (ふしゅ) などの腎臓障害をいう。ループスとは狼の頬を意味するラテン語で,SLEの顔面紅斑 (こうはん) が狼の頬に似ていることから,この名がある。 1960年代までは SLEの症例にいったんループス腎炎が発症すると,そのほとんどの例が数年以内に尿毒症で死亡していた。 70年代に入り副腎皮質ステロイドの大量投与が行なわれるようになり,ループス腎炎の中には蛋白尿の消失する例も見られるようになった。また,70年ごろから血液透析療法が普及して,末期の腎不全に陥ったループス腎炎の症例も尿毒症によって命を落とすことは少なくなった。 70年代後半に入り,SLEの治療は格段の進歩を遂げ,腎と中枢神経系以外の臓器症状は完全に消失することが多くなったが,ループス腎炎に関しては治療に抵抗してネフローゼ症候群が続いたり,透析治療の導入を余儀なくされる症例が決して少なくないのが現状である。

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