レルム・ノウァルム(読み)レルムノウァルム

百科事典マイペディア 「レルム・ノウァルム」の意味・わかりやすい解説

レルム・ノウァルム

教皇レオ13世が労働者生活改善に関して1891年に発布した回勅労働人間との関係利潤賃金主人召使などに関する教会従来の教えを,産業革命以後,資本主義興隆の新時代に適応させようとしたもの。国家による労働者保護などを提唱

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世界大百科事典(旧版)内のレルム・ノウァルムの言及

【イタリア】より

…国家に対立している教会は国会選挙への参加を拒否していたが,カトリック運動を通じて,精神的な面にとどまらず,民衆の日常的な社会生活の領域にもその活動を及ぼしていた。カトリックによる社会問題への取組みは,教皇レオ13世の労働に関する回勅レルム・ノウァルム(1891)によって一段と活発化し,民衆の窮状を救うための農村金庫,協同組合,民衆学校,保健施設などの設置に努力が示された。政府は民衆の抵抗,あるいは社会主義運動やカトリック運動の台頭に直面して,弾圧策を強める一方,エチオピア侵略に乗り出したりした。…

【回勅】より

…内容は宗教・道徳・社会問題などいろいろあるが,そのうちことに,社会・経済問題に関するものは〈社会回勅〉と呼ばれる。この回勅はカトリック社会思想の何たるかを知る直接資料として最も重要で,第2バチカン公会議以前の社会回勅の中では,レオ13世の〈レルム・ノウァルムRerum novarum〉(1891年5月15日,労働問題)とピウス11世の〈クアドラゲシモ・アンノQuadragesimo anno〉(1931年5月15日,社会経済秩序再建案)が世界的反響を呼んで有名。そのほか近代の有名な回勅を挙げれば,レオ13世の〈プロウィデンティシムス・デウス〉(1893年11月19日,聖書),ピウス10世の〈パスケンディ・ドミニキ・グレギス〉(1907年9月7日,近代主義の謬説),ベネディクトゥス15世の〈パケム・デイ・ムヌス〉(1920年5月25日,平和),ピウス11世の〈ディウィニ・イリウス・マギストリ〉(1929年12月31日,キリスト教的教育),〈カスティ・コンヌビイ〉(1930年12月31日,キリスト教的婚姻),ピウス12世の〈ミスティキ・コルポリス〉(1943年6月29日,キリストの神秘体)などがことに知られており,第2バチカン公会議前後から今日に至るまで次のものが出されている。…

【キリスト教民主主義政党】より

… キリスト教民主主義とは,もともと近代社会のいろいろな矛盾に対してキリスト教の立場から取り組んでいこうという政治運動を指しており,その最初のものはフランスで1830年の七月革命のときや,1848年の二月革命のときにあらわれたとされている。次いで19世紀末になって社会問題がいよいよ深刻になってきたとき,ローマ教皇レオ13世が《レルム・ノウァルムRerum novarum》(1891)という回勅を発表して反社会主義的立場からの社会問題への積極的な取組みを訴えたことが刺激となって,若い僧侶やインテリ,労働者を中心として再びあらわれてきた。キリスト教民主党Parti Démocrate Chrétienという名称をもった政党が出現してきたのもこのときのことである。…

【キリスト教労働組合】より

…ドイツでのカトリック労働組合運動の起源は,1869年マインツの司教ウィルヘルム・ケトラーの演説に始まるとされる。91年のローマ教皇レオ13世の有名な回勅〈レルム・ノウァルム(新しい事柄)〉が人間の尊厳を言明して労働問題に対する教会の使命を明示したことは,ヨーロッパ全体に新しい労働観をもたらし,キリスト教労働組合の発展への契機となった。99年にはプロテスタント系組合と合同してドイツ・キリスト教労働組合連盟が結成され,第1次大戦直前には組合員35万人,戦後の1920年には100万人に達した。…

【レオ[13世]】より

…46年ペルージア司教,53年枢機卿となる。78年教皇就任以後各国との修交に努め,また91年に公布した回勅〈レルム・ノウァルム〉は労働問題をキリスト教的に解決すべき原理を宣明した画期的な文書である。【今野 国雄】。…

※「レルム・ノウァルム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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