日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ロイヤル・インスティチューション
ろいやるいんすてぃちゅーしょん
Royal Institution
イギリス、ロンドンにある、科学の普及と研究のための機関。王立研究所ともいう。1799年ランフォードが創設、当初は自然科学の一般向け講義、日常生活と工場で用いられる機械の展示(博物館)、職工たちへの科学教育(職工学校)が目的であった。しかし、財政は個人からの寄付により、豊かではなく、講義以外は実現しなかった。1803年に教授になったH・デービーは巧みな講演で聴衆を集め、企業の委託研究も引き受けた。次のM・ファラデーもデービーの路線を継いで、「金曜日宵の講義」、少年少女向けの「クリスマス講演」は好評を博した。その後、教授職にはJ・チンダル、J・デュワー、E・ラザフォード、W・ブラッグらが就任した。2001年現在、5名の教授職と7名の研究員を擁する付設のデービー・ファラデー研究所をもち、自然科学の優れた専門研究と市民向けのわかりやすい解説の二つの目的を同時に追究している。会員や一般向けの金曜夜の講義とクリスマス講演は今日も継続されている。
[髙山 進]
『加藤邦興・慈道裕治・山崎正勝編著『新版 自然科学概論』(1991・青木書店)』▽『島尾永康著『ファラデー 王立研究所と孤独な科学者』(2000・岩波書店)』