改訂新版 世界大百科事典 「ロルの定理」の意味・わかりやすい解説
ロルの定理 (ロルのていり)
Rolle's theorem
関数f(x)が閉区間[a,b]で連続,かつ開区間(a,b)で微分可能であって,f(a)=f(b)ならば,f′(c)=0となる点cが開区間(a,b)の中に存在する。これをロルM.Rolle(1652-1719)の定理という。この事実は幾何学的には,関数f(x)が[a,b]における最大値をとる点,または最小値をとる点のうち,両端の点a,bに一致しない点の一つをcとすると,y=f(x)のグラフ上でx=cに対応する点における接線の傾きが0であることを意味する(図1)。上の定理でf(a)=f(b)という仮定を除いた場合は,
f(b)-f(a)=(b-a)f′(c)
となる点cが(a,b)の中に存在する。これを微分法における平均値の定理という(図2)。平均値の定理はロルの定理を使って証明され,また平均値の定理から,関数の増減・極大・極小を調べること,テイラー展開など微分法に関するいろいろの重要な事実が導かれる。
→微分
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報