改訂新版 世界大百科事典 「ローベングラ」の意味・わかりやすい解説
ローベングラ
Lobengula
生没年:1836ころ-94
南部アフリカのジンバブウェ南西部にあったヌデベレ王国Ndebele Kingdom最後の王。在位1870-94年。初代王ムジリカジの子で,ヌデベレ族がジンバブウェへ移住する少し前にズールーランド(西部トランスバール)に生まれた。母はスワジ族の出だったが,父の死後王位継承問題が起こった時,異母兄ヌクルマネNkulumaneが失踪中だったため,1870年王位に就かされた。2年後姿を現したヌクルマネとその支持者たちは王位奪還をねらって戦いをいどんだが,ローベングラとその軍隊はこれを撃退し,以来王国発展に尽力した。しかし80年代末からヨーロッパ人帝国主義者との対応に忙殺され,88年にはC.ローズに鉱業採掘権を与える協定を結んだ。イギリス人はこの協定を盾に土地領有権まで主張したため,彼は強く反発して戦おうとしたが,ヌデベレ族の中に支持する者が少なく,結局消極的抵抗をするにとどまった。やがて失意の彼は東部ザンビアのヌゴニ族の王の下に逃れようとしたが,その途次天然痘で倒れた。
執筆者:星 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報