ローマ卑俗法(読み)ローマひぞくほう(英語表記)römisches Vulgärrecht

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ローマ卑俗法」の意味・わかりやすい解説

ローマ卑俗法
ローマひぞくほう
römisches Vulgärrecht

西ローマ帝国の滅亡後 (476) ,ゲルマン部族国家の王の支配するイタリアを中心とする西ヨーロッパにおいてローマ人とゲルマン人との接触融合によってゲルマン化したローマ法。民族大移動の結果,ローマ古典法を支えた資本主義的な政治的,経済的体制は崩壊し,ローマ法の使命は,法学的論理の学的構成よりも,辺境地方に住むローマ住民の実際生活上の要求をいかに満たすかということに変質していった。帝国末の低俗なラテン語が衰退してロマンス語に変っていったと同じ過程をたどって,ローマ法も卑俗化し,主として慣習法の形をとって生残ることになった。ローマ卑俗法はときとしてゲルマン部族法と結合し,ローマ法の早期継受という現象を生ぜしめ,部族法の成文化,統一化を促した。

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