ローマ卑俗法(読み)ローマひぞくほう(その他表記)römisches Vulgärrecht

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ローマ卑俗法」の意味・わかりやすい解説

ローマ卑俗法
ローマひぞくほう
römisches Vulgärrecht

西ローマ帝国の滅亡後 (476) ,ゲルマン部族国家の王の支配するイタリアを中心とする西ヨーロッパにおいてローマ人とゲルマン人との接触融合によってゲルマン化したローマ法。民族大移動の結果,ローマ古典法を支えた資本主義的な政治的,経済的体制は崩壊し,ローマ法の使命は,法学的論理の学的構成よりも,辺境地方に住むローマ住民の実際生活上の要求をいかに満たすかということに変質していった。帝国末の低俗なラテン語が衰退してロマンス語に変っていったと同じ過程をたどって,ローマ法も卑俗化し,主として慣習法の形をとって生残ることになった。ローマ卑俗法はときとしてゲルマン部族法と結合し,ローマ法の早期継受という現象を生ぜしめ,部族法の成文化,統一化を促した。

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世界大百科事典(旧版)内のローマ卑俗法の言及

【ローマ法典】より

…ローマ人法典として何よりも重要なのは,506年にアラリック2世が発布した西ゴート・ローマ法典Lex Romana Visigothorum(中世にはアラリック王抄典Breviarium Alariciと呼ばれた)である。これはユスティニアヌス帝以前のローマ諸法源(ローマ卑俗法)を未加工のまま一つにまとめたものであるが,その後フランク人によって征服された南ガリアにおいて通用力をもち続け,またおよそ中世にまでローマ法を伝えた点で特別の重要性を有する。ほかに,506年より前にグンドバート王の発布したブルグント・ローマ法典Lex Romana Burgundionumがある。…

※「ローマ卑俗法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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