アヤメ科ヒオウギズイセン属Watsoniaの秋植え球根植物。ほとんどが南アフリカ産で60種以上ある。グラジオラスに似た草姿で,切花,花壇,鉢植え用に用いられる。半耐寒性で普通は草丈1.5mぐらい,東京で6月中旬に開花するものが多い。花序は総状となり,12輪くらいが下から咲き上がる。花序が分枝するものもある。花は径約3cmのらっぱ状。花被片は内外3枚ずつの6枚で,丸みをおびる。野生種には芳香のあるものもあり,欧米や南アフリカで品種改良されたものには鮮やかな赤や藤桃色の花をつけるものがある。古く渡来したものにワトソニア・アルデルネイ・アルバW.ardernei var. albaがある。白色で6月咲き,草丈約1.2mになる。また,ワトソニア・コッキネアW.coccinea Herb.ex Baker,ワトソニア・ピラミダータW.pyramidata(Ker-Gawl.)Stapfなど数種が栽培されることがある。耐寒性はあまりないので,暖地では10月上旬の植込みでもよいが,東京などでは極寒期までに伸びすぎて寒害を受けるので11月下旬に植え付けるのがよい。肥料は油かすなどを多めに与える。花後,葉が枯れかかったころに掘り上げて陰干し貯蔵する。
執筆者:川畑 寅三郎
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