化学辞典 第2版 「ワルデンの規則」の解説
ワルデンの規則
ワルデンノキソク
Walden's rule
P. Walden(ワルデン)により見いだされた次の三つの規則をいう.
(1)有機化合物の融解エントロピーは,その液体が非会合性である場合には,ほぼ56.7 J deg-1 mol-1 であるという規則(1908年).この規則は,融点を対応状態とみなしてよいことを示すが例外も多い.液体が会合性であれば,もちろん,融解エントロピーは上記の値より小さくなる.
(2)沸点における液体のモル体積とその臨界容積との比は約3/8であるという規則(1909年).この規則が成立すれば,沸点を一つの対応状態とみなしてよいことになる.沸点における液体が臨界状態まで変化するとき,たとえば解離などによりその分子量が変わるならば,この規則は成立しない.
(3)種々の溶媒中における特定の電解質の当量電気伝導率Λおよび当量イオン伝導率λは溶液の粘度ηに逆比例する.すなわち,
Λη = 一定,λη = 一定
の関係が成立するという規則(1906年).
とくに無限希釈における極限値については,比較的よく成立するといわれている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報