改訂新版 世界大百科事典 「アシナガバエ」の意味・わかりやすい解説
アシナガバエ
long-legged fly
双翅目アシナガバエ科Dolichopodidaeに属する昆虫の総称。その名のとおり,脚が非常に長い。触角の形態などから,短角亜目,直縫群に含まれる。成虫は,小型のものから10mmを超えるものまである。翅脈と翅の斑紋が種によって特徴的である。雄の触角と外部生殖器も非常に特徴がある。体は,ふつう光沢ある緑色または青色であるが,褐色または黄色がかった種もある。成虫の生息場所は種々さまざまで,森林内の下草の上,倒木の幹上,樹幹,渓流の石上やその付近の草上,海岸の泥地,砂地,しぶきのかかる岩礁などに生息する。水辺に生息する種では,水面を滑走するものも見られる。成虫,幼虫ともに捕食性で,成虫は体の軟弱な昆虫をとらえて食べるが,口器はスポンジ状でハエに近い形をしている。世界で2000種以上も記録されている。日本にも多数の種が分布するが,そのほとんどが未記録で,生態もほとんど不明である。
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執筆者:篠永 哲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報