化学辞典 第2版 の解説
アミノナフトールスルホン酸
アミノナフトールスルホンサン
aminonaphtholsulfonic acid
各種アミノナフトール類のモノおよびジスルホン酸の総称.多数が考えられるが実用上重要なものは次に述べるスルホン酸類で,それぞれ示したような通称をもつ.普通,ナトリウム塩の形で単離される結晶で,アゾ染料のカップリング成分として比較的深い色を与えることなどから,染料工業では重要な中間物となっている.【Ⅰ】4-アミノ-3-ヒドロキシナフタレン-1-スルホン酸:C10H9NO4S(239.25).1,2,4-酸ともいう.2-ナフトールをニトロソ化して1-ニトロソ-2-ナフトールとし,これに亜硫酸水素ナトリウムを反応させて還元とスルホン化を同時に行わせてつくる.黒色系媒染染料のジアゾ成分となる.また,リン,カルシウム,ケイ素の定量試薬に用いられる.[CAS 116-63-2]【Ⅱ】7-アミノ-4-ヒドロキシナフタレン-2-スルホン酸:C10H9NO4S(239.25).J酸ともいう.2-ナフチルアミン-5,7-ジスルホン酸(アミノJ酸)のアルカリ融解によってつくる.主として赤~青系の直接染料の中間物となる.[CAS 87-02-5]【Ⅲ】7-アミノ-1-ヒドロキシナフタレン-3-スルホン酸:C10H9NO4S(239.25).γ酸ともいう.2-ナフチルアミン-6,8-ジスルホン酸のアルカリ融解によってつくる.おもに黒系の直接および酸性染料のカップリング成分となる.[CAS 90-51-7]【Ⅳ】8-アミノ-1-ヒドロキシナフタレン-5,7-ジスルホン酸:C10H9NO7S2(319.32).シカゴ酸,SS酸ともいう.1-ナフチルアミン-2,4,8-トリスルホン酸のアルカリ融解でつくる.直接染料のカップリング成分となる.[CAS 82-47-3]【Ⅴ】8-アミノ-1-ヒドロキシナフタレン-3,6-ジスルホン酸:C10H9NO7S2(319.32).H酸ともいう.1-ナフチルアミン-3,6,8-トリスルホン酸(コッホ酸)のアルカリ融解でつくる.青,緑,黒系の直接染料および酸性染料の中間物として重要である.[CAS 90-20-0]【Ⅵ】8-アミノ-1-ヒドロキシナフタレン-3,5-ジスルホン酸:C10H9NO7S2(319.31).K酸ともいう.1-ナフチルアミン-4,6,8-トリスルホン酸のアルカリ融解によってつくる.青または黒系の直接染料用カップリング成分となる.[CAS 130-23-4]【Ⅶ】7-アミノ-1-ヒドロキシナフタレン-3,6-ジスルホン酸:C10H9NO7S2(319.31).RR酸ともいう.2-ナフチルアミン-3,6,8-トリスルホン酸のアルカリ融解によってつくる.褐色または黒の直接染料のカップリング成分となる.アルカリ溶液は青緑色の蛍光を示す.[CAS 90-40-4]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報