日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメリカマコモ」の意味・わかりやすい解説
アメリカマコモ
あめりかまこも
wild rice
Indian rice
[学] Zizania aquatica L.
イネ科(APG分類:イネ科)の一年草で、日本のマコモの近縁種。北アメリカの五大湖を中心に、北はカナダのウィニペグ湖から、南はルイジアナ州の湿地帯まで分布する。普通、浅い水中、ときには水深1メートルの所にも生える。稈(かん)は高さ1.5~3メートル、葉は幅4センチメートル内外、長さ約65センチメートル。夏の終わりに稈頂から長さ約50センチメートルの穂を出す。穂の上半分の枝梗(しこう)には雌花を、下半分の枝梗には雄花のみをつける。雌花のほうが早く開花し、他家受精をする。1小穂は1花よりなり、内、外穎(えい)は長さ2~2.5センチメートル、雌花の外穎には細くて長い芒(のぎ)がある。穎果は細長い円筒形で、長さ1.5~2センチメートル、幅1.5ミリメートル。熟すると落ちやすい。子実は昔から北米先住民族の食糧とされ、現在も自然食品として需要がある。子実の収穫は群生地の中へ舟で漕(こ)ぎ出し、棒でたたいて舟の中へ子実を落とす。米と同様に炊いて食用とされる。アメリカから輸入されている。日本での栽培も研究されている。
[星川清親 2019年8月20日]