アルミン酸ナトリウム(読み)あるみんさんなとりうむ(英語表記)sodium aluminate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルミン酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

アルミン酸ナトリウム
あるみんさんなとりうむ
sodium aluminate

一般式xNa2O・yAl2O3・zH2Oで表される化合物。メタアルミン酸ナトリウムNaAlO2あるいはオルトアルミン酸ナトリウムNa3AlO3などと表されることもある。ただしAlO2-やAlO3-などのイオンの存在は認められていない。NaAlO2酸化アルミニウム酸化ナトリウムまたはシュウ酸ナトリウムと電気炉中で強熱してつくる。あるいは水酸化ナトリウムと水酸化アルミニウム水中混合濃縮し、蒸発乾固しても得られる。無色の結晶性固体。純粋なものの融点は1700℃を超える。水に溶けやすく、溶けると加水分解してアルカリ性を示し、水酸化アルミニウムを沈殿するが、水酸化アルカリを加えておけば安定に存在する。エタノールに不溶。水酸化ナトリウム水溶液にアルミニウムを溶かすと水素を発生してアルミン酸ナトリウムを生成するとされるが、これはかなり複雑なものであると考えられている。水道浄水用、製紙窯業、土壌硬化剤、セメント混合物などに用いる。腐食性物質として各種法規で使用が規制されている。

[守永健一・中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「アルミン酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

アルミン酸ナトリウム (アルミンさんナトリウム)
sodium aluminate

化学式NaAlO2。酸化アルミニウムとシュウ酸ナトリウムの混合物を1000℃に加熱して得られる。また酸化アルミニウムと酸化ナトリウムの混合物を加熱しても得られる。これはイオン結晶性の混合酸化物であって,アルミン酸イオンAlO2⁻が結晶中に存在するわけではない。したがって,酸化アルミニウムナトリウムaluminium sodium oxideと呼ぶほうが適切である。融点は1700℃以上。水に溶けやすいが,水溶液は加水分解して水酸化物を沈殿する。この反応を利用して,ミョウバンと併用することによって水の浄化剤として用いられる。また水酸化ナトリウム水溶液に水酸化アルミニウムを溶解し,これを濃縮すると,アルミン酸ナトリウムの水和物に相当する組成の化合物が得られる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android