改訂新版 世界大百科事典 「酸化ナトリウム」の意味・わかりやすい解説
酸化ナトリウム (さんかナトリウム)
sodium oxide
化学式Na2O。ナトリウムの酸化物には,この組成のほかに過酸化物イオンO22⁻を含む過酸化ナトリウムNa2O2がある。Na2Oは無色の粉末。構造は逆蛍石型で,CaF2立方格子のCaの位置にOが,Fの位置にNaが配置した形をとる。格子定数a=5.55Å。比重2.27。400℃以上に熱するとNa2O2とNaに分解する。吸湿性で,水と激しく反応して水酸化ナトリウムを生ずる。また二酸化炭素を吸収して炭酸ナトリウムになる。ナトリウムを,適量の酸素と180℃以下で反応させる,過酸化ナトリウムと加熱する,水酸化ナトリウムと融解するなどの方法,アジ化ナトリウムNaN3を硝酸ナトリウムと反応させる方法で得られる。工業的には,ナトリウムと亜硝酸ナトリウムNaNO2を加熱してつくる。
6Na+2NaNO2─→4Na2O+N2
脱水剤として有機反応における重合,縮合反応に用いられる。密閉して保存し,皮膚に直接触れないよう注意する。
執筆者:藤本 昌利
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報