改訂新版 世界大百科事典 「アレサンドリ」の意味・わかりやすい解説
アレサンドリ
Arturo Alessandri Palma
生没年:1868-1950
チリの政治家。リナレス州ロンガビー生れ。1893年弁護士となる。97年自由党下院議員に当選し,政界に入った。98年工業相,1913年蔵相を経て15年上院議員となる。雄弁家で知られ,20年自由党の一部,急進党,民主党からなる自由同盟より大統領選に出馬し,新興中産階級・労働者の支持も得て当選した。第1次世界大戦後の経済不況,硝石産業の衰退という状勢下で,社会保障,労働関係法,所得税の導入,行政権の拡大など極めて進歩的な政治・社会の近代化政策をうち出したが,24年クーデタでヨーロッパに亡命した。25年若手の改革派軍人のクーデタで復帰し,近代化政策を盛り込んだ〈1925年憲法〉を制定した。しかし国防相のイバニエスと対立して辞職。31年にイバニエスの失脚により大統領に再選され(1932-38),大恐慌期の政治的混乱を収拾し経済再建に尽力したが,労働者・中産階級の支持を失った。44年以後上院議員。ホルヘ・アレサンドリJorge Alessandri大統領(在職1958-64)の父。
執筆者:吉田 秀穂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報