アロステリック酵素(読み)アロステリックコウソ

化学辞典 第2版 「アロステリック酵素」の解説

アロステリック酵素
アロステリックコウソ
allosteric enzyme

酵素分子中には基質と結合し,化学反応を触媒する活性中心が存在するが,さらに酵素の機能を促進あるいは阻害してアロステリック効果を示す部位をもつ酵素をいう.アロステリック部位に結合し,酵素の機能を変化させる物質エフェクターといい,基質と構造を異にする.エフェクターは,酵素タンパク質の本体構造を変化させ,その結果,酵素の機能が変化すると考えられている.たとえば,トレオニンデアミナーゼはトレオニンを基質とし,脱アミノ反応を触媒するが,イソロイシンバリンが阻害および促進エフェクターとしてアロステリック部位に結合する.生体内における複雑な代謝調節に重要な役割を果たす.酵素の反応速度の解析より,アロステリック酵素は反応速度の基質の濃度に対してプロットすると,S字曲線が得られ,基質の濃度によって反応速度が共同現象的に変化する特徴をもつ場合が多い.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「アロステリック酵素」の意味・わかりやすい解説

アロステリック酵素【アロステリックこうそ】

酵素タンパク質の活性部位以外の場所(アロステリック部位)に低分子の物質が結合すると,酵素の立体構造が変化し,酵素活性が変化する現象をアロステリック効果という。このような現象を示す酵素をアロステリック酵素と呼ぶ。

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栄養・生化学辞典 「アロステリック酵素」の解説

アロステリック酵素

 アロステリック効果のみられる酵素.ホスホフルクトキナーゼなど.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアロステリック酵素の言及

【酵素】より

…ところで,酵素の中には基質飽和曲線が双曲線性でなく,図6のようにS字性(シグモイド性)や矩形に近い形を与えるものも少なくない。この現象はアロステリック酵素によく見られるもので,協同効果cooperative effectsと呼ばれるが,このような曲線の性質をヒル係数Hill coefficient(nと略記)というパラメーターで表す。ヒル係数は図8の作図によって求められる。…

※「アロステリック酵素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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