イソロイシン(読み)いそろいしん(英語表記)isoleucine

翻訳|isoleucine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イソロイシン」の意味・わかりやすい解説

イソロイシン
いそろいしん
isoleucine

α(アルファ)-アミノ酸の一つ。略号はIleまたはI。エールリヒが1904年に糖蜜(とうみつ)からロイシン異性体であるアミノ酸を発見し、イソロイシンと名づけた。L-イソロイシンは、分子内に2個の不斉炭素原子があるので、二つのラセミ体が存在する。タンパク質の構成成分であり、オキシトシンなどのペプチドホルモンバシトラシンなどのペプチド抗生物質にも含まれる。人間にとっては必須アミノ酸(ひっすあみのさん)の一つで、体内では合成されない。D-イソロイシンは抗生物質バシトラシンの構成成分であるが、タンパク質中には存在しない。化学式CH3CH2CH(CH3)CH(NH2)COOHで、分子量は131.18。水に溶け、アルコールには溶けにくい。分解点284℃。

[降旗千恵]

栄養

イソロイシンは栄養上、必須アミノ酸であるが、食品タンパク質に広く分布するため欠乏することはない。4種の光学異性体があるが、L-イソロイシンのみが生体に利用される。イソロイシンは体内でαメチルアセトアセチル補酵素Aを経て、プロピオニル補酵素Aとアセチル補酵素Aに変化する。アルコール飲料醸造中に、原料に含まれるイソロイシンが活性アミルアルコール(ペンタノール)に変化し、フーゼル油主成分となる。

[宮崎基嘉]

『味の素編『アミノ酸ハンドブック』(2003・工業調査会)』『櫻庭雅文著『アミノ酸の科学――その効果を検証する』(講談社・ブルーバックス)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イソロイシン」の意味・わかりやすい解説

イソロイシン
isoleucine

略号 Ile ,その化学式は CH3CH2CH(CH3)CH(NH2)COOH 。L 体はヒトニワトリなどの必須アミノ酸の一種蛋白質を構成する。2個の不斉炭素原子があるので,4種類の異性体が存在する。 DL 体は融点 275℃である。

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