山川 世界史小辞典 改訂新版 「イスラーム文化」の解説
イスラーム文化(イスラームぶんか)
イスラーム期以前のアラビアの最大の文化遺産は,アラビア語であり,イスラームの発展とともに,この言葉も広まった。大征服により,古代オリエント文化の伝統,ならびにギリシア,インド諸文化とも接し,これをアラビア語とイスラームを核としつつ融合,発達させたのがイスラーム文化である。ただイスラーム教徒のみでなく,キリスト教徒,ユダヤ教徒,サービ教徒などの貢献も多く,またイラン人,スペイン人などの文化活動は特に顕著だった。イスラーム固有の学問と並び,ギリシア伝来の哲学,医学,天文学,数学,錬金術(化学),物理学なども外来の学問として受け入れられ,新分野が開かれた。インドやペルシアの諸科学の貢献も少なくなかった。東はインド,中央アジア,西はスペインまでの広大な地域に栄え,9~12世紀の全盛期を過ぎると徐々に停滞期に入った。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報